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昔話

小川村・大町市美麻地区・長野市中条地区に伝わる昔話をご紹介します。
  • 大町市美麻地区 & 小川村

    猫檀家

    猫檀家

    むかしむかし、小川村の山の中に法蔵寺というお寺があって、そこには1匹の猫がおったそうな。この猫、和尚の袈裟を着込んで、夜な夜な近所の猫を集めて説法をしておった。ある夜、たまたま和尚がこれを見つけてしまった。翌朝、和尚は猫に「昨夜の説法はなかなかだったが、あの程度ではまだ私の代わりはできん。寺に恩返しをしたいと思うなら別の事で示してはどうか。」と。すると猫はぷつっと姿を消してしまった。

    時は経ち、ところは大町市美麻の千見というところで葬儀が行なわれようとしていた。ところが、突然空に暗雲たちこめ激しい嵐となった。三日四日たっても嵐はいっこうにおさまらず、葬儀もできずに困り果てていた時、一人の旅の層がやってきてこう言った。「ならば、法蔵寺の和尚を頼むがよかろう」縁もゆかりもない小川村の法蔵寺だが言われたとおり法蔵寺の和尚を呼んだ。すると、和尚が仏の前に座ったとたん嵐は止み、空は晴れあがった。あの旅の僧はもしかしてあの猫だったのではないだろうか。

  • 大町市美麻地区

    静の桜

    静の桜

    静御前といえば源義経の愛人だいね。その義経さんは兄の頼朝に追われ奥州に旅立ってしまった。けど、静さんはけなげに義経さんの後を追ったよ。

    京を出て、表海道はたどれんもんで、仁科の里からこの美麻へぬけてきなさった。一休みなさった大塩ってとこは、鹿島槍や五竜のてっぺんがよく見えるところでな、登り坂で杖にしてきた桜の棒をここに置いてきなさった。

    それがまあ、不思議なことに根を出して、枝を広げたもんだ。そいで立派な桜の木になって、静御前さんの杖だったから「静の桜」って呼ばれて、もう千年になるだいね、あの木は・・・

  • 長野市中条地区

    虫倉山の山姥

    虫倉山の山姥

    山姥って言うと、一般には旅人に宿を貸して悪事を働く妖怪だと思われとるが、おらとこの虫倉山の山姥さまは大いに違うぞ。子どもをとっても可愛がる神様でな、ほれ、昔の男の子は、刈り込んだ頭の後ろに毛を少し残しておったろう。それ(しとしとぴっちゃん)の、子連れ狼の、大五郎のあたまを思い出してごらんな、ここらじゃ「ととっ毛」って呼んだがね。昔の男の子ときたらみんな「があたく(聞かん坊)」で、毎日川で泳いだり、木に登ったりしとってな、溺れたり、枝が折れて落っこちたりするのは日常茶飯事ってやつだった。

    だけどそんなときは山姥さまが「ととっけ毛」をつかんでひっぱりあげてくれるもんで、生命だけは助かるのさ。ほんと、ありがたい山姥さまなんだけど、いまの子は川や山で遊ばなくなっちまって、さびしいね。

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